フォークリフトの運転・操作のコツは?上手・下手な人の特徴も解説

フォークリフト

フォークリフトを扱う仕事をしている人、これからフォークリフトを扱う仕事をしたい方の中には、「いまいちコツが掴めない」「操縦に自信がない」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、フォークリフトを運転するときのコツとリフト操作のコツを合わせてご紹介します。運転が上手い人・運転が苦手な人の特徴、フォークリフトはなぜ運転が難しいのかも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。フォークリフトの運転のコツをしっかりと押さえて、楽しく働きましょう。

フォークリフト運転の8つのコツ

フォークリフトの種類は、立って操縦するものから座って車感覚で操縦するものまで、さまざまです。しかし、乗り方や動かし方こそ違えど、上手な運転をするために必要なテクニックは共通しています。

本項目では、フォークリフト上級者を目指すために知っておきたい8つのコツをご紹介します。

  • フォークリフトの種類ごとの車両特性を把握する
  • 水平ボタンを活用する
  • 曲がるタイミングを意識する
  • 車と同じ感覚でハンドル操作をしない
  • スライド機能がある場合はしっかり活用する
  • 絶対に同時操作をしない
  • 荷物の運搬はバック走行にする
  • とにかく運転してその機種に慣れる

運転が上手くなる方法を身につけて、手足のようにスイスイ操作できるようになりましょう。

フォークリフトの種類ごとの車両特性を把握する

フォークリフトは種類によって特性が大きく異なります。運転技術を上達させるためには、車両の特性を知った上で、ハンドル操作をしたり周囲に気を配りながら運転をしたりすることが重要です。

本項目では、2種類のフォークリフトの操作方法や手順を解説していきます。フォークリフトの特性から、上手なハンドル操作やレバー操作のコツを学びましょう。

リーチフォークリフト

リーチフォークリフトは運転席がついていない、立ったまま操縦できるリフト形式です。フォークリフトの要である爪の操作は、立ったままレバーで行います。リーチ式は運転席がないので車体が小さく、狭い倉庫内で小回りがきくのが特徴です。

また、リーチフォークリフトはすべての動力源がバッテリーなので、屋内専用の型式ですが走行音が静かで排気ガスが出ません。

カウンターフォークリフト

カウンターフォークリフトは運転席がついており、ハンドル操作で操縦します。車と同じ要領で運転操作できるのが特徴です。カウンター式は運転席がついているので車体が大きく、1トン以上の重さがある荷物も運搬できます。動力源はバッテリー式とエンジン式があり、屋内外問わず使用可能です。

多くの工場で使用されているのはカウンターフォークリフトで、車の運転に近い感覚で運転ができることから、習得しやすいフォークリフトともいえます。

水平ボタンを活用する

フォークリフトの種類によっては「水平ボタン」が装備されています。水平ボタンは、あまり水平感覚が身に付いていない方でも簡単にリフト部分を水平にできる機能です。リフト部分を水平にする操作は、慣れるまではどうしても時間がかかってしまうので、便利ツールをどんどん活用していきましょう。

曲がるタイミングを意識する

フォークリフトは方向転換の際に後輪がメインで稼働する「後輪操舵」の乗り物なので、普通自動車とは異なり「外輪差」が発生します。普通自動車の場合は「内輪差」が起こるので、方向転換の際には左前のタイヤに意識を向ける必要があります。

しかし、フォークリフトは方向転換をする際に後輪が動くことを頭に入れておかなければいけません。前輪が曲がりたい地点に辿りついたときにハンドルをきるようにすると、上手く操縦できるでしょう。

車と同様の感覚でハンドルを握らない

フォークリフトの操作は車とあまり変わりませんが、ハンドルの回し方には注意が必要です。

先ほども解説した通り、フォークリフトは後輪がメインで稼働します。後輪がメインで稼働する場合、ハンドルを大きく操作すると外輪差の発生から車体を大きく振ってしまい、事故や荷物の落下に直結します。

普通自動車とは異なり、小刻みにハンドルを操作する必要があるので、急ハンドルは厳禁です。

スライド機能がある場合はしっかり活用する

フォークリフトの種類によっては「スライド機能」が備わっています。スライド機能は、荷物を積み込むときに荷物がズレてしまった場合に、車体を移動せずその場で位置修正を行える機能です。

スライド機能がある車体では、荷物のズレを解消する際に車体をバックして修正する手間が省けます。効率的に運びたい場合にはぜひ活用しましょう。

同時操作は絶対に行わない

操作に慣れてくると、複数の操作を同時に行うことが可能です。しかし、走行しながらのリフト操作や同時操作は、大きな事故につながりかねません。

罰則こそありませんが、現場によっては同時操作を禁じる規則を設けている会社もあります。上手な操縦者ほど基本に忠実です。慣れてきたときこそ、「基本手順」を遵守して操作しましょう。

荷物を運搬する際はバック走行にする

フォークリフトは荷物を積むと前方が見えなくなります。そのため、荷物を積んでいるときはバック走行をするのが基本です。バック走行をすると視界が明瞭になる他、サイレンが鳴って走行を周囲に知らせることが可能です。

しかし、バック走行で曲がろうとすると、遠心力などで荷物が落ちてしまうことがあるので、荷物から目を離さないように注意しながら運転をする必要があります。

とにかく運転してその機種に慣れる

フォークリフトの運転に基本的な知識が必要なのは当然ですが、初心者が上級者になるためにはたくさん乗りこなして実技練習をすることが欠かせません。

マニュアル遵守をするのはもちろんのこと、実際の操作感やマニュアルにはない荷物の運搬技術は実践によって初めて身につくものです。何度も運転操作を繰り返して、身体に操作方法やテクニックを叩き込みましょう。

フォークリフトのリフト操作のコツ

ここまで、フォークリフトの運転のコツをご紹介しましたが、フォークリフトは運転技術だけでなくリフトの操作技術も必要です。ここからは、リフト操作のコツを見ていきましょう。

  • パレットを使い分ける
  • リフトの爪をしっかりと差し込む
  • 上げ降ろし作業は2段階で行う

それぞれ詳しく解説していきます。

パレットを使い分ける

フォークリフトでは、荷物を運ぶときに「パレット」という「すのこ状の板」に爪を差し込んで持ち上げます。このパレットは材質によって特徴があるため、扱う荷物などによって使い分けられると、操作がしやすくなるでしょう。パレットの種類は、主に下記の3つです。

木製パレット 丈夫で壊れにくく傷んだ部分だけを修復できる湿気に弱い
合成樹脂製パレット 湿気に強く耐久性にも優れている破損部分の修理に費用がかかる
金属製パレット 壊れにくく頑丈で耐久性に優れている他のパレットよりも先の部分が重い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

木製パレット

木製のパレットは丈夫で壊れにくく、重い荷物を運ぶのに適しています。木材なので湿気に弱いというデメリットがありますが、傷んだ部分だけを修理して使うことが可能なため、多くの工場で重宝されている材質です。

合成樹脂製パレット

合成樹脂製パレットは木製パレットとは異なり、湿気に強いのが特徴です。耐久性に優れていて長持ちをしやすく、湿気が多いところでも使用できるため、導入している工場も多いです。しかし、破損部分の修理は木製パレットより費用がかかります。

金属製パレット

金属製のパレットは、3種類のパレットの中でもっとも壊れにくく頑丈な材質のパレットです。耐久性に優れていて長期間使用できることから、航空輸送などの現場でよく使用されています。他のパレットよりも先の部分が重いため、慣れるまでに少し時間がかかるでしょう。

このように、パレットにはそれぞれ特徴があるので、特性を理解しながら使い分けると安全に使いこなせます。

リフトの爪をしっかりと差し込む

リフトは、爪をしっかりと奥まで差し込むことで荷物を安全に運べます。商品を傷つけないか、壁にぶつかってしまわないかなどの不安から、浅く差し込んでしまうと危険です。爪の角度や位置を調整しながら丁寧に操作をして、奥まで差し込むように意識してください。

また、先ほども少し解説しましたが、爪を水平に保つことも大切です。爪が水平になっていないと、走行中にずり落ちてしまったり、爪を抜き差しするときに商品に刺さってしまったりする可能性があります。水平ボタンなども活用しながら操作をしてみてください。

爪の幅も、広すぎず狭すぎないように一定の幅をキープするのを意識してください。

上げ降ろし作業は2段階で行う

荷物の上げ降ろしをする際は、2段階に分けてゆっくり行うと失敗をしにくいです。

荷物を持ち上げるときは、「少し手前に動かす」「パレットに爪を指してから持ち上げる」という2段階で行います。反対に荷物を降ろすときは、「一旦仮置きをする」「置きたい場所の中心に置き直す」という2段階に分けて作業をするようにしてください。

急いでいる際は、走行しながらリフトの操作をしてしまうこともあるかもしれませんが、操作ミスをするリスクや荷物を落とすリスクが高くなるので、フォークリフトの操作をするときは手順を1つ1つ順番に踏んでいくようにしましょう。

フォークリフト運転が上手い人の特徴

フォークリフトの操縦が上手な人は、上記で解説したようなコツを掴んでいるだけでなく、「性格」にも特徴があります。

運転が上手い人は「慎重かつ丁寧」な性格で、慣れていても荒々しい運転はせず、的確なコントロールによって効率的に荷物を運搬しているのです。

フォークリフトは、丁寧な運転操作を心がけることが上達への最短距離といえます。フォークリフトの特性を理解した上で、作業を雑に行わないように注意しましょう。

基礎を忘れない

フォークリフトの上達に欠かせないポイントは「基本に忠実であること」です。フォークリフトの基本情報の把握はもちろん、基本的な操作手順や禁止事項を守らなければ上達は見込めません。慣れてきたときこそ「初心」を思い出し、基本操作に忠実であることが上達のチャンスです。

周囲をよく観察している

フォークリフトは、操作を誤ると大きな事故につながりかねません。事故を防ぐために常に周囲を観察して注意深く運転できる方のほうが、上達は早くなりやすいです。危機察知能力はフォークリフトの操作に必要不可欠な要素ですから、「人が出てくるかもしれない」など、常に「かもしれない運転」を意識して車体操作を行いましょう。

良い雰囲気の職場にいる

職場が殺伐としていると、プレッシャーから事故や失敗につながりやすくなります。適度な緊張感は必要ですが、ピリピリとした環境では緊張して力が発揮できず、なかなか成長につながりません。職場の雰囲気が朗らかで安心できるという方は、のびのびと仕事ができて成長も早い傾向にあります。

トラックの荷台の広さにも詳しい

フォークリフトのバイトでは、フォークリフトを使ってトラックに荷物を載せる機会が非常に多くあります。したがって、荷物の大きさとトラックの荷台の広さに意識を向けると、より的確な操作が可能です。フォークリフトを使って荷物を運ぶ先のことも意識すると、より操作が上達するでしょう。

フォークリフト運転が下手な人の特徴

フォークリフトの上達には、危機管理能力を持って基礎を守りながら運転することが大切というのが分かりました。では反対に「なかなか運転技術が向上しない人」にはどのような要因があるのでしょうか。

本項目では、フォークリフトの運転が下手な人に見られる特徴を解説します。普段の操作をイメージして、当てはまる項目がないか確認してみましょう。

急ブレーキ・急発進している

フォークリフト操作に「急ブレーキ・急発進」は厳禁です。フォークリフトを運転していると、どうしても運んでいる荷物のほうに意識が回ってしまい、周囲に積んである荷物まで注目できないこともあるでしょう。しかし、急旋回や急ブレーキを行うと、車体の転倒や荷物の落下につながります。

仕事にスピード感は重要ですが、ハンドル操作やブレーキ操作にスピード感は必要ありません。スピード感は爪の抜き差しや荷降ろしで重視しましょう。あくまで「安全運転」を意識して運転するようにしてください。

上限重量を把握できていない

フォークリフトは重いものを運べるのが特徴ですが、1度にものを運べる上限重量が決まっています。重量上限を超えていても動かすことは可能ですが、上限を超えて荷物を積載すると安全性が失われますし、フォークリフトがスムーズに動かなくなって非効率的です。

フォークリフトをスムーズに運転するためには、上限重量を把握しておく必要があります。フォークリフトには上限を確認できる「許容荷重表」がついているので、必ず確認して最適な重量で運搬しましょう。

原因を考えない

リフト操作に失敗したときは、「失敗した原因」を考えるようにしてください。「なぜこうなったのか」と原因分析をしてミスの根本を把握できれば、同じ失敗を防げるだけでなく、技術向上に活かすことができます。

フォークリフトの運転に限った話ではありませんが、ミスをしたときには必ず原因を突き止めて、同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。

フォークリフトの運転を難しいと感じる理由

「車は問題なく運転できるのに、フォークリフトはいつまで経っても上達しない」とお悩みの方は多いと思います。

車の運転はハンドル操作で車体を操作するだけですが、フォークリフトは車体操作と荷物の操作を同時に行うため、より複雑なテクニックが必要です。

したがって、フォークリフトを上手く操作するためには、曲がり方や実際に曲がるタイミングを見定める運転テクニック以外に、荷物の積み込みや戻し方を実践で身につけなければいけません。

最後に、フォークリフトの運転・操作が難しいと感じる理由を3つ詳しく解説します。

運転に慣れるまでの時間が長い

フォークリフトの免許合格率は90%を超えており、ほぼ確実に免許の取得が可能です。

しかし、免許を取得しても、実際に上手く乗りこなせるまでには最低でも1年程かかります。免許を取った後に職場でフォークリフトを運転すれば上達していきますが、「免許は取れたけどなかなか実践できる機会がない」というケースも少なくないでしょう。こういった方は、運転に慣れるまでに時間を要し、技術を身につけるまでにも時間がかかります。

また、「車体の運転はできても荷物が上手く扱えない」というフォークリフトならではの悩みに直面し、フォークリフトを難しいと感じる方も多いです。

資格を取得する必要がある

フォークリフトの免許は簡単に取得できますが、取得には1週間程度の日数が必要です。免許を持っていない人がフォークリフトを運転すると法律で罰せられる決まりがあるので、必ず免許を取るようにしてください。

しかし、仕事の合間をぬって免許取得に行くのが「面倒」と感じる場合は、フォークリフトに対しての敷居が高くなります。

フォークリフトは簡単に免許を取れる上に国家資格なので、取得すれば自信やスキルアップにつながります。取得しに行くのが面倒だと感じているとしても、ぜひ挑戦してみてください。

機種ごとの操作性に慣れなければいけない

先ほど、2種類のフォークリフトの特徴や違いについて解説しましたが、機種によっても特徴が異なります。車が車種によって操作性が多少異なるように、フォークリフトも機種によって操作性が異なるので、自分が運転するフォークリフトの特徴をまず把握する必要があるのです。

フォークリフトの運転でお悩みの方は、機種ごとのスピードの出やすさや曲がるときのタイミングを意識して操作をすると良いでしょう。

フォークリフトの種類や機種の特徴については、「フォークリフトの種類一覧!仕事で必須の免許や求人の条件も解説」の記事をご参照ください。

操作だけでなくスピードや的確性も重要になる

フォークリフトを実践で乗りこなすためには、基本的な操作方法だけでなく、スピーディーかつ安全に荷物を運搬するテクニックが求められます。スピードや的確なコントロールは実践していく中で身に付くスキルなので、やはりフォークリフトを乗りこなすためには実践あるのみです。

最初は誰もが上手く乗りこなせず悩みますが、一定の経験を積めば「コツが分かったかも」と、突然しっくり来る日が来ます。日々実践練習を積み、コツが掴める日を待ちましょう。

フォークリフト免許について詳しく知りたい方は、こちらの記事も読んでみてください。

フォークリフトの免許取得方法・費用・試験の合格率など徹底解説

まとめ

今回の記事では、フォークリフト技術が上達せず悩む方に向けて、フォークリフトの特徴を改めて確認した上でコツを掴める方法を解説しました。

フォークリフトは免許の取得こそ容易ですが、実戦経験を積まなければ上達は見込めません。今回解説したポイントを元に実践経験を積みながら、コツを掴んでいきましょう。練習を積んでフォークリフト上級者を目指せば、高時給バイトへの応募もできるようになるでしょう。

フォークリフトについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。

【フォークリフトのバイトってきつい?】時給が高いと言われるフォークリフトの仕事内容と現場の声を紹介

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